僕らの日常は、退屈しない。良い意味でも悪い意味でも。今日は日常のことを少し書いてみようと思う。
簡単に僕の自己紹介をするね。
名前は「クロ」。男だよ。
僕を見た人間の口から「クロちゃん」という言葉がよく聞こえてくる。猫の世界では名前を付ける習慣はないけれど、人間の世界では僕の名前はクロのようだ。ということで、クロと名乗ることにした。
生まれた場所は覚えていなくて、いつの間にか川が近くにあるここの場所が僕の家になった。家といっても天井も壁もない。広さだけが自慢。家族はいないけど、仲間がいるから寂しくはない。ときどきお客さん(鳥とかタヌキとか)がやってくるよ。
一日のスケジュールは大体こんな感じ。
早朝はご飯タイム
少し空が明るくなったら探検や狩り、遊びの時間を終えて休憩時間になる。人が少ない夜に元気に動き回っているから、この時間になるととても眠いんだ。だけど、まだ寝ない。
なぜなら、大きな入れ物が入ったカバンを持ったあの人が来るからだ。
「そろそろかな」と思ったら、仲間と一緒にあの人をお出迎え。カバンの中身は僕たちの朝ごはん。
僕たちの姿を見ると、その人は笑顔で何やら話しかけてくれる「おはよう」とか「元気?」「寒いね」とか。言葉の意味はわからないけど、朝に人間がよく使う言葉なんだろう。
朝ごはんを運んでくれるのは毎日ではないけれど、周りにその人以外の人間がいない朝はゆっくりと安心して食事ができるんだ。
おなかがいっぱいになると、お礼の「にゃー」をいう。
すると、その人は優しく僕の首筋を撫でてくれる。仲間も撫でてほしくて順番にお礼とおねだりの「にゃー」をいう。
それぞれの時間
なでなでタイムが終わり、その人が帰ったらそれぞれ気ままに過ごす。
軽く毛づくろいをしてから、居心地の良い場所に陣取って体と頭を休めるために仮眠をする。平和な日はそのまま熟睡できるけど、そうじゃない日も結構多くて。
昨日は大きな声を出しながら歩いている人がいた。何かされるかもしれないと怖くて、眠れなかった。
午前中は、仮眠以外にすることは、鳥の声を聴いたり空を眺めたり、何も考えない時間かな。寝られる日は寝るし、そうでないときは、仲間と情報交換したりお互いを毛づくろいしたりする。
お日様が見守ってくれるほんのり暖かな昼は、お昼寝タイム。猫には寝る時間がたくさん必要だけど、安全に眠れる場所はほとんどない。熟睡できることが少ないから、少しの時間でも寝るようにしている。
毎日を生き延びることが何より大切
人間は、そんな僕たち猫が寝ている姿をみて呑気で良いよなと思っているだろうね。
天気さえ良ければ、僕たちの家の周りはまったりとした時間が流れていることが多いとはいえ、安心できないことが多い。疎まれて、石を投げつけられたりいじめられたりすることだってある。
だから、たいてい背の高い草が生えているところに身を隠している。人間からは僕を見つけるのは難しいけれど、こっちから人間の姿はよく見える。
いざという時は草むらの奥へと走って行き隠れる。人間の丁度顔の高さあたりに、たくさんのクモさんが巣をはっているから、奥まで人間は来ない。草の根元は夏涼しく冬暖かい。秘密の散歩みちだってある。
生き延びるために、できる限り居心地がよく安全な場所は調べてあるんだ。
悪いことばかりじゃないよ。
朝、ご飯を運んでくれる人以外にも、僕たちを気にかけ可愛いがってくれる人は案外多い。
昼間は毎日、知らない人間がやってくる。たくさん来る日もあれば、ほとんど来ない日もある。
人間は、僕らの写真を撮ったり、ごはんやおやつをくれたり、体をなでてくれたり、話かけてくる。少し離れた場所で僕たちをただ見ていることもある。「あの子がかわいい」「茶トラのあの子が推し」とか言っているのも聞こえる。
人間が僕たちの中に推しを見つけるように、こちらも人間の推しがいる。
推しの理由は、スペシャルなおやつをくれる人。おやつをくれる人はたくさんいるけど、おいしいおやつにはなかなかありつけない。推しの足音やにおいがしたら、ワクワクする。
推しではないけど、嫌がることをしない人は好きだ。たとえば、追っかけられたり、大きな音を出されたり、しつこく触ってくる人は苦手。そんなことをしない人が好き。
また、そばに来て静かに座って見守ってくれている人がいることはありがたい。だって、その人がいる間は、僕たちに悪戯する人は近寄ってこないから。
もっと書きたいことがあるけど、今日はこの辺で。次の当番が回ってきたら書くから読んでね。次のお当番はチャミかレオン。
今日はお付き合いいただき、ありがとう。(おわり)
今日のお当番:クロ
よろしければ、こちらもどうぞ。 >> 猫日記を書こうと思ったきっかけ