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  1. 創作ストーリー

恋と友情は平行線 不思議な関係の行方(前編)

・・◇◆・・

奈波さんを待っている間、僕は20年前のお見合いで初めて彼女に会った時のことを思い出していた。

奈波さんは緊張まじりのの表情を保ちつつ、時折見せる明るい笑顔の後ろ側に、、悲しみを隠しているようだった。

それもそのはず、結婚を前提に付き合っていた男性から別れを告げられてからまだあまり時間が経っていなかったのだ。

「私ね、最近失恋しちゃったの」

食事を終え、デザートが運ばれてきた時奈波さんが話し始めた。

「2年も付き合っていたのに。出会ってから2週間しかたっていない女に負けたの」

「そうなんだ」と僕は短い返事をする。

奈波さんは話を続ける。

「遠距離恋愛だったから仕方がなかったのかな」

遠距離恋愛だったのか・・と、僕は心の中で呟く。

「私って、お嫁さんにしたいと思える部分が欠けているのかな」

「料理が得意なだけじゃダメなのかな」

奈美さんは、もう止められないという感じでどんどん話を続ける。

新しい彼女はすぐに会える距離に住んでいるらしいから、この2年間で私と彼が過ごした時間なんてあっという間に上書きされてしまったのよ・・

あの日、大切な話があるって言われて急に会うことになったの。

3週間ぶりに会うから嬉しくて待ち合わせの場所に早めに行ってドキドキして待っていた。やっと今日、プロポーズしてもらえるんだって。

ところが、顔を見るなり別れを告げられたの。ひどいでしょ。

舞い上がっていた私には、思いっきり頭を殴られたような衝撃だった。

別れ際に彼の手首を見ると、いつもとは違う手作りのパワーストーンのブレスレットを付けていた。

それを見て、ああ、もう彼の心は私にはないって悟った。

まあ、笑い話にするしかないよね。悔しいけど・・・。

別れを告げられた辛い日のことを、誰にも話せなくて抱えていたんだろうなと、僕は思った。

「あ、ごめんなさい。私のことばかり話してしまって。くだらない愚痴を言うために悟さんと会っているわけではないのに」

少し頬を膨らましながら一気に話しまくっていた自分に気づいて、奈波さんはほんの少しうつむいた。

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