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  1. 創作ストーリー

白いティーカップ-2

白いティーカップ‐1

ところが、素敵な恋愛を夢見て、中学、高校、大学へと進み、何度か恋する相手に出会うのだけれど、ドキドキしながら告白しても私はいつもあっさりとフラれてしまうのだった。   
告白をしないまでも、相手にはすでに可愛らしい彼女がいたことも多かったのだが。

そんなことが続いたせいか、素敵な出会いは美女だけに許された特権なのだと自分に言い聞かせて、恋愛への興味を封印していったのだった。

その後の私は一流企業へ就職することを目標に、流行のファッションを追い合コンに明け暮れる友人との付き合いを避けて勉強に励んだ。出会いを期待して入っていたサークル活動もやめて、図書館へ行く時間を増やした。

リクルートスーツ姿が決まるように筋トレでスタイルを維持する努力を始めた。面接官の好感度を上げる方法や、第一印象を知的に見せるメイクを動画や本をみて練習をした。道で素敵な女性とすれ違えば、何故素敵なのかを研究してみたりもした。

私は自分でいうのもなんだが性格は明るく社交的な方だったので、友人は多い方だった。けれども、目標を決めてからは誘いをいつも断るものだから、友人がどんどん離れていき、大学を卒業する頃は独りぼっちだったことしか覚えていない。

そうして、小学生の頃に読んだ『コーヒーカップの旅』という童話の詳しいストーリーどころか、その童話を読んだことは完全に記憶の隅に追いやられていった。自然と、女性も仕事で認められて沢山稼ぐことが幸せだという価値観に置き換わっていったのだった。

努力の甲斐があって一流企業への就職が決まった私は、地元を離れて一人暮らしを始めた。マンションを借りるための費用と3ヶ月分の家賃は、両親が就職祝いとして快く出してくれた。

その他は、就職が決まってから始めた短期アルバイトの給料を使って最低限の生活雑貨と電化製品だけを揃えた。あとは毎月の給料の中から少しずつ必要に応じて買い足すことにした。

「麻優ちゃん、元気にしていますか? 連絡が無いから心配です。落ち着いたら一度顔を見せてくださいね。忙しかったら、せめて声を聴かせてくれると嬉しいわ」

一人暮らしをして2週間が過ぎたころ、母親からLINEのメッセージが届いた。初めての社会人生活に、初めての一人暮らし。初めて尽くしの事に慣れるために目の前の事に必死だったので、私は、たった一言のそっけないメッセージを送った。

「大丈夫。心配しないで」

なんとも親不孝な私だ。新しい生活が落ち着かなくても、心配をしてもらえることに感謝の言葉を伝えなければいけないのに。けれど、母が喜ぶような気の利いた優等生のメッセージを送る余裕が私にはなかった。

何かと大変だった新人研修が終わり、少しは社会人らしくなった頃に、配属部署の内示があった。希望していた部署とは違う商品開発の部署だったが、同期の友人も一緒に配属されたことは心強かった。

続きはこちら 白いティーカップ‐3

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