小さなお話から少し大きなお話まで オリジナルストーリーと自分史を公開しています

  1. 創作ストーリー

白いティーカップ-1

秘密やおまじないや恋という言葉を聞くと、なぜかドキドキした。少しませた小学生の私の愛読書は、恋愛的要素のある物語だ。

シンデレラや美女と野獣のような有名でお姫様が登場するような王道のお話も好きだったが、どちらかというと無名でほとんど知られていないような物語に引き付けられることが多かった。

本屋さんや図書館で、あまり誰かに触れられることなく埃をかぶっていそうな本棚から、新たな本との出会いを期待して、宝探しをするように本を探しては読んでいた。
特に学校の図書館の一番奥の棚は、宝の山だ。市販されている本だけではなく、今は絶版になっている無名作家の本、どこかの誰かが趣味で書いた同人誌、コンクールの入選作品集などが置いてある。

その中から見つけ出した少し埃の匂いがする『ティーカップの旅』という物語のことが私は大好きだった。

物語の書き出しは、確か、こんな感じだった。
「この物語を読んだ あなただけの秘密のおまじない。明日、試してみない?」

秘密のおまじないとは、ペアのティーカップを一客だけ買って、使わずに食器棚の一番上の段へ飾っておくと、素敵な恋人との出会いを引き寄せるということ。

恋人と出会った後は同じものを買い足して、初めて迎える三日月の夜にデートをする。その時ペアとなったカップを使って恋人と一緒に紅茶を飲むと、永遠の愛が約束されるとかなんとか。

大人になって仕事をしてお金をもらったら、最初に買う物はペアになっているティーカップ&ソーサーだと心の中で決めていた。というか、そう思い込んでいた。

どうしてかって?


だって、大人の女性は、素敵な人と出会って結婚することが一番の幸せだから。
そうでしょ?

続きはこちら 白いティーカップ-2

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