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  1. 創作ストーリー

白いティーカップ‐最終回

(前回のお話) 白いティーカップ‐6

紅茶専門店JI‐YOU・・・ここだ。

少し変わった名前の店のドアを開けて中に入ると、アイボリーの空間が広がっていた。従業員はみな白のシャツに濃い茶色のエプロンを身に着け名札をつけている。そこには様々な産地やブランドの紅茶の葉が売られており、店内は紅茶の良い香りに包まれている。

JI-YOUでは、店頭で売られている茶葉の中から月替わりで5種類を店内でも飲めるようになっている。基本的に外側も内側も真っ白のティーカップで提供しているようだが、ティーカップも選ぶことができる。カウンター席に座った私はティーカップを選ばずに、アップルティーセットを注文した。

 今週も一週間お疲れ様、私。

お酒が飲めない麻優は、紅茶で自分自身をねぎらう。人に入れてもらったお店のお茶はなぜか自宅で飲むものとは格段に味の差があるように感じるのだ。ささやかなぜいたく。

少し離れた場所で、店長だろうか、私の事を柔らかい笑顔で見つめていることに気が付いた。

「あれ?どこかでお会いしましたっけ?」
「いえ。お客様とお目にかかるのは初めてです」
「そうですよね。私、この店に来るのは初めてですから」
「気に入っていただけましたか?」
「ええ。もちろん。最近この近くの会社に転職したので、またいつでも来られます」
「ありがとうございます。是非おまちいたしております。」

では、ごゆっくりお過ごしください。あ、もしよろしければこれをと、店長らしき男性から名刺を受け取った。

「ありがとうございます」
受け取った名刺を、その時はちらっと見ただけで麻優は手帳に挟んだ。

店を出て、電車に乗った。運よく座れたので、さっきもらった名刺を取り出し、何気なく眺めてみる。そこには「Tea Boutique JI‐You オーナー 城山侑史(Yuji Shiroyama)と書かれていた。

あれ?

Ji‐Youという店は、オーナーの名前が由来だったことに麻優は気付いた。 
自由。ユウジという名前の、「ゆう」と「じ」をさかさまにしたのだ。

不思議が詰まった新しい生活のはじまりに、私は希望が膨らんでいった。

以前、出会った電車の中での酔っぱらいのユウジくんは、Ji-Youの店長との出会いを予言していたのかもしれない。

JI-YOU・・・自由。


そうだよね。これから私がどんな人生を過ごそうかも自由なのだ。年下の男性やずっと年上の男性に恋をすることだって。

そういえば、城山さんって、何歳だろうか。独身かな? 
今度、聞いてみよう。いや・・・もう少したってからにしておこう。

さあ、楽しみが一つ増えたよ。新しく始まった生活よ、ありがとう!!
麻優は明日を楽しみに、笑顔で眠りについた。

(おわり)

ここまで読んでいただいありがとうございます! あやのはるか

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